でりけーと


今日も今日とて刺客との戦闘をこなし、ようやく一息つく。
「ホンットに、懲りもしないでよく来るよな、コイツラも」
「全くです。そろそろ力量の差を学習してくれても良さそうなものですが」
「あー、腹減った〜! なあ、三蔵、次の…………三蔵! ケガしてんじゃん!」
悟空の声に、悟浄と八戒の視線も三蔵に集中する。

「大した事はねえ。放っときゃ治る」
気付かれた事に舌打ちをしつつ、三蔵は面倒くさそうに言い捨てた。
「見せて下さい。…………ああ、これくらいなら…………これで大丈夫ですよ」
実際に浅い傷だったようで、気孔で傷を塞ぐともう殆ど分からないくらいになる。

「それにしても、三蔵も大概よくケガするよなぁ」
からかうように言った悟浄の言葉に、三蔵がピクリと反応を示す。
「……ふん、俺はてめえみたいに殺しても死なねーようなゴキブリじゃねえんだよ」
少々負け惜しみじみた反論になってしまった事に気付いたのか、三蔵は憮然とした。

すると、今まで黙っていた悟空が悟浄に食って掛かった。


「そうだよ、悟浄と違って、三蔵は『でりけーと』なんだからな!」


しばし沈黙が流れた後、悟浄が気を取り直して確認を試みた。
「あー……、デリケート? 誰が?」
「だから三蔵が!」
「あははははは! デリケートだったのか、三蔵様ってば!」
バカ笑いする悟浄にとりあえず蹴りをいれた三蔵は、大元の発言者である悟空を睨みつける。
「オイ悟空、何ふざけた事口走ってやがる!」
当の悟空は、三蔵が何を怒っているのか分からないらしく、首を傾げていた。
「え、だって八戒が言ってたんだもん。三蔵は『でりけーと』なんだからって」
「八戒、てめえ、何吹き込んでやがんだ! …………おい、八戒はどうした」
ふと見ると、いつの間にか八戒の姿が見えなくなっている。
「八戒なら、さっき『水を汲んできます』って言ってた気がするけど」
どうやら逃げられたらしいと悟った三蔵は、差し当たっての犠牲者に目を向けた。

「くっくくく……三蔵が『デリケート』ねえ〜」
未だ笑っている悟浄には、三蔵の手が懐のS&Wに伸ばされている事など知る由もなかった。


合掌。





日記アテレコネタのサルベージ第1弾。
当時の日記を読み返していると、我ながらアホだなぁと思います。
ちなみに、このネタを日記で書いた当時は掲示板で「三蔵なら『デリケート』というより、むしろ『バリケード』」というもっともなツッコミを頂きました(笑)

2005年5月6日UP
おもちゃ箱 TOP

SILENT EDEN TOP