「三蔵の十円ハゲー!!」
別にそんなこというつもりじゃなかったんだけどな・・・。
飛び出してきちゃった。
やっぱ怒ってるかな・・・
うわあ。よく晴れてんなー。
木漏れ日がちょうど気持ちいいや。
でも・・・三蔵にとっては『どうでもいい』ことなのかな?
だって、俺、ここに持ってるんだよ?
俺の『愛』。
すっごくどきどきしてる。
なんだかとってもあったかくて。
俺の手のひらの上でふわふわ浮いてる。
まあるくハート型で
きれいな色の
俺の『アイ』。
三蔵のためだけにあるんだよ?
でも『どうでもいい』んだよな・・・。
三蔵にとってそうなら、そりゃ仕方ないけどさ。
でもそれって。
それってすごくすごく
三蔵も『愛』を持ってるのかな?
悟浄が持ってたくらいなんだから、きっと持ってるよな。
俺だって持ってるもん。
きれいだろうなあ。
三蔵の『あい』
・・・三蔵の『愛』は誰にあげたのかな?
まだ持ってるのかな?
・・・俺みたいに?
でも三蔵は何でも知ってるし、大人だし。
きっともう・・・『誰か』にあげちゃったんだろうな・・・
俺の知らない昔の大切なヒト?
それとも俺の知ってる誰か?
悟浄・・・は無いよな、もらったのは捨ててたし(しかも踏んでたもんな)
『愛』をあげる位のヒトからもらっといて
あんなことしないよなー。ふつー。
・・・・・でもさんぞーだし・・・・・
ううん、三蔵はそんなことするやつじゃないもんな。
すぐ怒るし、叩くけど、
でもやさしーの
俺知ってる。
じゃ誰かな?
・・・八戒?
・・・・・・・・・・・・。
わかんないけど違う気がする。
よくわかんないけど・・・。
それじゃ、
誰?
・・・なんでだろ。
胸がちくちくする。
くるしい。
こころが
おもくって
なんだか
くろい。
むねのなかが
くろくて、つめたくて、くるしくて、
・・・・・息が出来ない。
三蔵が、誰か俺じゃないヒトに『愛』をあげてるなんてこと
考えてみただけなのに。
『誰か』が、三蔵の『愛』を持ってること
考えてみただけなのに。
嫌だ。
やだ、やだやだやだやだやだやだやだ。
三蔵は誰のものでもないのに。
だけど。
「やだよ、さんぞお・・・」
え?あ・・れ?
さんぞー?
ひょっとして、探しに・・・来てくれたの?
あ、ごめん。
自分じゃわかんないけど・・ううん、そうだね、
多分、俺、今三蔵のこと、呼んでた。
また聞こえちゃったんだ。
ごめん・・・ごめん。
うるさくしないようにするから。
だから俺のこと・・・・・。
・・・・・・・。
?!そんなこということ無いだろ?!
そりゃ、今までも何度か同じこといったような気はするけど!
今度こそ、三蔵にめーわくかけないようにしよーと思って・・・・
え?これなに?
・・・すげーきれー・・・・
・・・・・・・?
これ・・・俺にくれるの?
・・・・ううん。
すっげー嬉しい!
あ、あのさ、さんぞー?
その、これ、あげる。
さんぞーに。
・・・ありがと。
俺、すっげーうれしいよ?