時折、雨の中へ行きたくなる
降りしきる雨の中で雨に打たれていたくなる
それで罪が消せるわけではないのに
身体中に染み付いた血が洗い流せるわけでもないのに
……それでも。
ただただ静かに降りしきる雨でも
激しく打ちつける雨でも
どんな雨であっても。
この身をその空の下へ……
雨の中で空を見上げて……
雨粒をこの身に受けて……
ただ過去を見つめていたくなる時がある。
そんなことをしても過去に還れるわけがないのに
あの人を救えるわけもないのに。
長く雨が続くと、雨に打たれていたくなる
……夜毎の悪夢から逃れるために。
長雨だとあの雨の夜の記憶が夢に現れる
何度も大切な存在を『守れなかった』想いを味わう
毎夜失った痛みが夢に訪れる
その痛みから逃れるために
一晩中雨に打たれていたくなる時がある。
……それだけが雨の夜の悪夢から逃れる唯一の方法だから。