ホクレアの名前おまけ



それはエーコの唐突な発言から始まった。
「オルハルディがホクレア名を貰うとしたら、何になるのかねぇ?」
「私が……ですか?」
想像がつかないと考え込むリンナの隣で、ベルカも一緒に考える。
リンナはベルカにとって大事な『国民』だ。
ベルカが「暁」なら、「暁」に取って縁のあるものを、と思ってしまうのは、別に悪いことではないだろう。
しかし特にこれといったものは思い浮かばない。
「めんどくせぇ……いっそ『太陽』とかでいいんじゃね?」
考えるのを放棄したベルカはそう提案してみる。
ベルカが空なのだから、一番簡単な「空に光るもの」を挙げただけなのだが。
「『太陽』だなんて畏れ多い……っ!」
謙虚の権化みたいなリンナは当然否定する。
「もっと慎ましやかな物で十分です」
そんな風にベルカの提案を辞退した。
「う〜〜ん……じゃあ『瑞雲』とかどう?」
『瑞雲』とは何だろう?と二人して首を傾げると、エーコは簡単に「雲のこと」と答える。
「ああ、それなら……」
「光って無いじゃねぇか」
「えー? 太陽の光を受けて輝いて見えるらしいよ? すんごい縁起が良いんだって!」
「えっ!?」
そんなに凄いものなら、やはり辞退したいとリンナは思うのだけれど、主と仰ぐベルカが納得してしまって今更反対できそうな雰囲気ではない。
「(まあ、でも……良いか)」
空にある雲ならば。

雲一つ無い晴天など、年に数回も無い。
常に近い頻度『暁』に寄り添えるなら、雲の名前を戴くのも、名誉なのかもしれない。




こちらも、おーみさんから「おまけ」という形で頂きました!
リンナの……リンナのホクレア名……!
「太陽」を全力で辞退するリンナがらしいと思いつつ。
「瑞雲」……常に空に寄り添う雲、更には光を受けて輝く雲というのがまたリンナらしい!
おまけと呼ぶには余りにもったいないお話をありがとうございました!



2011年10月6日 UP




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