ライバル出現?



コンコン、と小さくノックをすると、悟浄は返事を待たずにドアを開けた。
「入るぜ、三蔵」
言いながら部屋に入ると、三蔵が椅子に座って新聞を広げているのが見える。
視線を上げもしない三蔵に、今更ながらムッとする。
「お前さ、朝も読んでなかったか?」
三蔵に近付きながら訊いてみると、ようやく三蔵が顔を上げた。
「……これは夕刊だ」
邪魔をするなと言わんばかりの目で、三蔵は悟浄を睨みつける。
「んなもん読んでて楽しいかぁ? ったく、ジジくせえヤツ……」
「うるせえ。情報収集の一環だ。お気楽極楽なてめえと一緒にするな」
イライラとした様子で、三蔵は新聞をバサリと殊更大きな音を立てながらめくった。
「用がないなら出てけ。邪魔だ」
はっきりと言い捨てた三蔵だが、これくらいで怯む悟浄ではない。
いい加減、三蔵の性格も慣れているし耐性もついている。

「折角、個室が取れたんだぜ? 一人寝なんて寂しいじゃねえか」
「……個室は本来、1人で寝るためのものだ」
そっけなく返す言葉の前に僅かな間があったのを、悟浄は聞き逃さない。
「ここのベッドなら、2人でも十分イケるだろ?」
「明日は予定通り朝にここを出発だ」
「だぁいじょーぶだって。手加減すっから」
「信用できんな」
あくまで新聞から視線を外さない三蔵に焦れて、悟浄は背後から右手で三蔵の両目を覆った。
「何しやがる!」
三蔵が悟浄の手を退けようとその手をかける直前、悟浄は身を前に屈めながら残った左手で三蔵の顎を取り、強引に後ろを向かせた。
「んっ……!」
次の罵倒が出てくる前に、その唇を塞ぐ。

三蔵は何とか逃れようとしているが、ただでさえキツい体勢の上に腕力が違うのでどうしようもない。
新聞が三蔵の手から滑り落ち、いつしか三蔵の抵抗がなくなった頃、ようやく悟浄は塞いでいた目と唇を解放した。
すっかり息の上がった三蔵が、椅子の背凭れに寄りかかりながら悟浄を睨み上げている。
「てめえ……」
本人は睨んでいるつもりなのだと思うし、実際通常時ならその眼光は人間妖怪問わず震え上がらせるものなのだが、今の頬が上気して瞳が僅かに潤んだ状態では迫力も何もあったものではない。
むしろ誘っているのか、と問いたくなっても仕方がないと悟浄としては思ってしまう。
が、今それを口にすると間違いなく部屋から叩き出されそうなので、そこは耐えた。

椅子の背凭れに両手をかけながら、悟浄は三蔵の耳元で囁く。
「2週間もシてないんだぜ? 俺もいい加減限界なんだよ。な?」
無言のまま座っている三蔵を、上から覆い被さるようにして抱きしめる。
「三蔵……」
名前を呼ぶと、腕の中の三蔵の身体がビクリと反応した。
「絶対無茶な事はしねえ。約束すっからよ」
駄目押しとばかりにそう言うと、小さく三蔵のため息が聞こえた。

「……1回で終わらせろ」
「あー……」
即答できずに視線を泳がせていると、三蔵がジロリと睨みつけてきた。
「返事はどうした」
「……わーった、わーったよ。努力するし」
しばらく胡散臭そうな目で見ていた三蔵だが、納得してくれたのか諦めたのか、目を閉じて力を抜いた。






翌朝、いつもの法衣を着る三蔵の眉間には何本もの皺が寄せられていた。
「……エロ河童の言う事を信じた俺がバカだったわけだな」
ピリピリと不機嫌さを隠しもせずに、三蔵は言い捨てた。
「お、俺は嘘は吐いてねえぞ!? 一応、努力はしたし!」
「やかましい! 今日は朝から出発だっつっただろうが! 少しは先の事を考えろ!」
「悪かったって。今日は1日、ずっと俺がフォローすっから」
両手を上げながら、悟浄は銃を出される前に三蔵を宥めようと苦心していた。
あんなに気持ち良さそうだったくせに……などと思うが、それを言ったら確実に銃弾が飛んでくる。
「刺客が襲ってきても、俺が片付けるし。悟空も八戒もいるんだし、大丈夫だって」
「お気楽河童が……。何か不測の事態が起こったらどうする気だ」
「お前が心配性すぎんだよ。そうそうタイミング良く起こんねえって」
「だといいがな」
文句を言うのも飽きたのか、三蔵は不機嫌な顔のまま着替えを済ませると少し重そうな動きで部屋を出ていった。




人もまだまばらな食堂では、八戒がコーヒーを飲んでいた。
「ああ、三蔵、悟浄、おはようございます」
笑顔で挨拶をすると、八戒はさっと2人分のコーヒーを注文する。
「猿はまだ寝てんのかよ」
「もうそろそろ起きてくると思いますよ、時間的に」
運ばれてきたコーヒーを一口飲むと、八戒が小さく欠伸をするのが見えた。
「珍しいじゃん、お前が欠伸なんて」
「ああ、すみません。ちょっと寝不足で」
「……何か、問題でもあるのか?」
三蔵がコーヒーカップを下ろしながら、心持ち真剣な表情で八戒に尋ねる。
「いえ、問題といえば問題だし、そうでないといえばそうでないですし……」
八戒らしくなくはっきりとしない言い方に、三蔵の眉が寄せられる。
「何だ。はっきり言え」
「……とりあえず、三蔵の部屋の隣が悟空じゃなくて僕で良かったですね」
「何?」
「これからは、もう少し宿の壁の厚さとかも気にして下さると助かるんですが」
あっさりと告げられたセリフに、三蔵が思わず硬直したのが分かる。
石と化している三蔵の代わりに、悟浄が八戒に軽く片手を上げた。
「わりーわりー。久し振りだったから、つい、よ」
「まあ仕方ないですけど、ホドホドにして下さいね。三蔵だって辛いでしょう?」
「わーってるって。今日はお前もフォローよろしくな」
「はいはい。最初からアテにしてたんですね」
「そゆこと。ま、いずれお前が悟空と……ってなった時は、俺がフォローしてやっからよ」
「いつの事になるかは分かりませんけどね」
そんな会話を交わしていると、チャキ、という音が悟浄の耳に届いた。
不吉な予感にソロリと顔を向けると同時に、銃が突き付けられた。
「……死ね」
その言葉と共に、食堂は瞬く間に大きな喧騒へと飲み込まれていった。





川沿いの道を、いつもの如く騒がしい面々を乗せてジープが走っていく。
今のところ、幸いにも刺客の襲撃はなく順調に進んでいる。
「だから言ったろ? そうそうタイミング良くヤバい事は起きねえって」
「やかましい」
一言で返すその三蔵の口調は、まだやはり不機嫌そうだ。
「んだよ、まだ怒ってんのか? 済んだ事はしゃあねえだろ?」
「開き直ってんじゃねえ、バカ河童が!」
「そうじゃねえけどよ……そろそろ許してくれよ」
「うるせえ」
取り付く島もない……と悟浄が項垂れると、横から無邪気な声が飛んできた。
「何だよ、悟浄。三蔵にまた何か変な事したのか?」
悟空のその発言に、悟浄はおろか三蔵までがガタッと座席を揺らした。
「へ、変な事って、お前……」
「うん? だって、何かやらかしたから三蔵怒ってんだろ?」
「……ちなみにお前、その『変な事』って何か分かってるわけ?」
「え? 俺がそんなの知るわけないじゃん」
特に深い意味はなかったのだと分かり、ひとまず息をつく。
さすがに、悟空にその『変な事』とやらがバレていたらちょっと嫌だ。
というか、そんな事態になったら三蔵に殺される。
18歳といえばもう一人前として見ていいとは思うのだが、三蔵はどうもまだ悟空にはそういった事に触れさせたくないようだ。親心、というヤツだろうか。
過保護だとは思うが、正直悟浄としてもその気持ちは分からなくもない。
悟空には、その辺の普通の18歳の少年と一緒の感覚で考えたくない何かがあるのかもしれない。

悟空を何とか誤魔化しつつ話していると、どこからかヒュルルル……という音が聞こえてきた。
上方から聞こえてくるこの音に運転中の八戒を除く3人が見上げたのとほぼ同じタイミングで、大きな衝撃音と共に大岩が目の前の道を塞いだ。
このやり方に4人全員がもしやと考えたその時、まさに予想通りの声が響いた。

「やい、三蔵一行ー! この李厘様が経文を貰いに来てやったぞー!」
ビシイッと三蔵達に人差し指を突き付けながら、李厘は嬉しそうに大岩の上に立っている。
「相変わらず元気ですねえ」
ほのぼのと八戒が感想を漏らすが、三蔵はげんなりとした様子でため息をついている。

「てめえと遊んでる暇はねえ! とっとと帰れ!」
そう怒鳴った三蔵の声に答えたのは、李厘ではなかった。
「そういうわけにはいかん。俺達も遊びではないからな」
声と共に現れたその姿を見て、悟空がジープの上で立ち上がる。
「紅孩児!」
李厘の横に立った紅孩児の傍らには、独角と八百鼡の姿も見えた。
「全員でお出ましってか。随分やる気じゃん?」
地面に降り立った悟浄が、煙草を銜えながら笑う。
そんな悟浄を横目で睨みながら、三蔵がポツリと呟いた。
「……『そうそうタイミング良くヤバい事は起きない』……だったか?」
ギクリと肩を揺らし、悟浄は視線を泳がせた。
「……あー……フォローするし。な?」
「当然だ。……それと、後で覚えていろ」
「……スイマセン……」
銃弾の嵐に晒される覚悟を決めつつ、悟浄はとりあえずこの場を凌ぐべく意識を紅孩児達へと集中する。



張り詰めた空気が、その場を覆う。
互いにそれぞれの武器を手にしながら、戦闘体勢を整える。
一際強い風が2組の間を吹き抜けたのを合図に、両者は地を蹴った。

普段ならば紅孩児一行と戦う際は、それぞれ1対1でやり合うのが常だ。
しかし、今日は三蔵がまともに動けない状態だ。もちろん、悟浄のせいであるのだが。
故に、悟浄と、事情を知っている八戒がわざと混戦になるように仕向けて三蔵をカバーしていた。

その様子に最初に気付いたのは、独角だった。
「何だぁ? 今日はやけに三蔵を庇うじゃねえか」
悟浄の錫杖を剣で受け流しながら発された独角の言葉に、悟浄は内心冷や汗をかいた。
「ま、俺らん中で最年長で歳だからなー。お年寄りは大切にってか?」
適当な軽口で流してしまおうと冗談めかして言った途端、悟浄の横を銃弾が掠めていく。
「誰が年寄りだ」
「って、こういう時だけ素早く反応すんなよ!」
大岩に凭れかかったまま銃を構えている三蔵に、悟浄は抗議する。
気付かれないようにフォローしているこちらの身にもなってみろ、などと思うが、そもそもの原因は悟浄なのだからそんな事を言える立場でもない。

そんな風に戦ってはいたが、そうそういつまでも誤魔化しとおせるほどバカな敵でもない。
三蔵達の動きの不自然さに、紅孩児や八百鼡にも気付かれてしまったらしい。
「……まさか、ケガでもしてるのか?」
紅孩児は小さく呟き、悟空とじゃれ合っている……もとい、戦っている李厘に声をかけた。
「李厘!」
名を呼んで、紅孩児は視線で李厘に指示を出す。
アイコンタクトで通じる辺りは、さすが兄妹といったところだろう。

大きく跳躍しながら、李厘が悟浄や八戒の防壁をすり抜けて三蔵に攻撃を仕掛けた。
咄嗟にその攻撃を何とかかわした三蔵だが、やはり腰の痛みから踏み止まる事が出来ずに倒れてしまった。
「三蔵!」
1番近くにいた悟浄が急いで駆け戻り、李厘と三蔵との間に錫杖を走らせる。

李厘が三蔵から大きく離れたのをきっかけに、それぞれの一行は互いに一旦距離を取った。
「やはり、玄奘三蔵はケガをしているようだな……」
何故か渋い表情で呟く紅孩児を、悟浄は不審に思い眉を顰める。
紅孩児にしてみれば経文を奪うチャンスであるはずなのだから、本来なら喜ぶべきだ。
もっとも、必要以上にフェアプレー精神に富んだ紅孩児であるからこそなのかもしれないが。

悟浄がそんな事を考えていると、傍で悟空が慌てて三蔵に駆け寄っていた。
「三蔵! どっかケガしてんのか!? 何で言わないんだよ!?
「……別に、ケガなんてしてねえ」
「だって、すげえ痛そうじゃん。どこ痛めてんだよ?」
そう尋ねた悟空に、三蔵は言葉に詰まる。
それはそうだ。本当の事など言えるはずがない。
それならそれで、どこかにぶつけただの適当な事を言ってしまえばいいのだろうが、こういうところで三蔵は不器用な人間だと思う。
「まあまあ悟空。それは、この場を何とかした後でいいじゃないですか」
八戒がフォローを入れると、悟空も納得したようでとりあえずは引き下がる。

「そんじゃまあ、腰痛の三蔵様に代わって俺らが相手しようじゃねえの」
言った途端、再び銃弾が飛んでくる。
「人を年寄りみたいに言ってんじゃねえ、クソ河童!」
「んだよ、フォローしてやろーってんだろ?」
「うるせえ! 元はといえば、てめえのせいだろうが!」
この三蔵のセリフに反応したのは悟空である。
「え、悟浄が何かしたのか!? どういう事だよ、悟浄!」
「あーもう! だから、今はそれどころじゃねえっつってんだろうがよ」
「誤魔化すなよ!」
三蔵の事となると冷静ではいられないらしい悟空が、悟浄に食って掛かる。

紅孩児達をすっかり放ったらかしで内輪揉めが始まり、その言い争いはだんだんヒートアップしてくる。
その中で、いい加減イライラしてきていた悟浄は勢いのまま口走った。

「大体、たった一晩ヤったくれえで足腰立たなくなる方が鍛え方足りねえんだよ!」

瞬間、水を打ったような静けさが場を包んだ。
三蔵や悟空はおろか、そのやり取りを少し離れたところで聞いていた紅孩児一行も凍りついている。
八戒だけは無事なようだが、呆れたように俯いてため息をついている。

悟浄も言ってしまってから我に返り、恐る恐る三蔵の方に視線を向ける。
俯いていて顔は見えないが、小刻みに震えて見えるのは気のせいではないだろう。
ヤバい、と僅かに後退り、三蔵と距離を取ろうとしたが、その前に三蔵の銃から全弾が発射された。
「いっぺん死んでこい、この腐れ河童があー!」
こめかみに青筋を刻みながら、三蔵は銃弾を装填し直すと再び悟浄に向けて発砲する。
「ちょちょちょ、ちょっと待てって! い、今はそれどころじゃっ……!」
「黙れ! 聞く耳もたん!」
「ま、待てってマジで! 紅孩児達何とかする方が先だろ!?
「そうですよ、落ち着いて下さい、三蔵。悟浄への制裁は後でゆっくりたっぷりして下さればいいですから」
「……さりげに怖い事言うなよ、お前」
八戒のフォローなのか今いち判断しづらいフォローのおかげで、三蔵もひとまずは落ち着いたようだ。

攻撃が止んだ事に息をついて、改めて放置しっぱなしだった紅孩児達の方へと向き直る。
「……あ?」
向き直ったのはいいが、その先で膝から崩れ落ちている紅孩児に悟浄はポカンとしてしまった。
紅孩児の両隣では、独角と八百鼡が不憫そうに紅孩児を見つめている。

悟浄は八戒と顔を見合わせ、八戒が少々戸惑いながらも声をかけてみた。
「あの〜……、一体どうしちゃったんですか?」
「えっと、それは……その……」
尋ねた八戒に、八百鼡が言いにくそうに言葉を濁している。
「んだよ。何でいきなり王子様が崩れ落ちてんだ?」
悟浄がそう言うと、紅孩児がピクリと反応を示し、大きな動作で立ち上がる。
「沙悟浄! 貴様……」
「え? 俺?」
自分で自分を指差しながら、悟浄はワケが分からずに首を傾げる。

「玄奘三蔵に、無理やりそのような不埒な真似をするなど、断じて許す事は出来ん!」
「は? いや、つーか無理やりじゃなくて合意の上だし」
本当はもっと気になる点があるのだが、ひとまず不名誉な誤解を解いてみた。
「嘘を吐くな!」
「嘘じゃねえっての。な、三蔵?」
「俺に振るな!」
心なしか顔を赤くして、三蔵が怒鳴りつける。
否定しない事が既に肯定になっている事に、三蔵自身は気付いていないかもしれない。

その三蔵の反応を見て、紅孩児は拳を強く握りしめている。
「……そうか、気の迷いなんだな。そういう事もあるだろう」
「って、何言ってんだ、お前」
悟浄がツッコミを入れてみるものの、当の紅孩児は全く聞いていないようだ。

やり取りを聞いていた八戒が、八百鼡にこっそりと質問する。
「えー……要するに、紅孩児って三蔵の事が好きなんですか?」
「ええ……。しかも、かなり前から」
ため息をつきながら、八百鼡は頷く。
八百鼡と独角の様子から察するに、普段から色々と大変な事があるようだ。
「大変……なんですねぇ……」
「ええまあ……。でも、私達としては紅孩児様の想いが成就されてほしいのですが……」
「残酷な事を言うようですけど、それは無理ですよ」
三蔵と悟浄を間近で見ているからこそ、八戒はそう断言した。
それを聞いて、八百鼡と独角は主の報われぬ想いを思ったのか、一際深い息をついた。

八戒達がそんな会話をしている間に、紅孩児は何やら自己完結してしまったようだ。
「よし、今日のところは一旦引いてやる」
そう言うと同時に、大岩の上へと跳ぶ。
それを追って跳んだ3人と共に並びながら、紅孩児は悟浄に対してビシッと指を突きつけた。
「だが、貴様のような倫理観の欠けた男に三蔵を任せてはおけん!」
「余計なお世話だっつの」
そう返すも、やはり紅孩児は聞いていない。
人の倫理観をどうこう言う前に人の話を聞かない性格をどうにかしろ、と悟浄が思っても仕方がないところだろう。




そして、紅孩児は指を突きつけたポーズのまま高らかに宣言した。


「三蔵一行、今年こそ三蔵を俺の物にする。覚悟しろ三蔵・悟浄」


次に会う時を楽しみにしていろ、と捨て台詞を残して、紅孩児は飛竜に乗って去っていった。




そんな紅孩児の背中に、悟浄の大声が飛んだ。
「何度来ようが、三蔵は俺のモンだってんだよ! 誰が渡すかあああああ!」
「恥ずかしい事を大声で叫んでんじゃねえー!」
スパアアン、とハリセンの気持ち良い音が響いた後、悟浄は地面と抱き合う羽目になった。




その三蔵の顔が気のせいでなく赤かった事を、地面に突っ伏していた悟浄には知る由もなかった。










END










後書き。

「4周年記念ミニ企画」第11弾。
お題は「三蔵一行、今年こそ三蔵を俺の物にする。覚悟しろ三蔵・悟浄」。
……えー、紅孩児がすっごく変な人になりました。紅孩児ファンの方、すみません。
どうも真面目過ぎる故に、変な方向に突っ走ってしまったみたいです。
でも、書いてる本人はこの上なく楽しかったです。(特に会話)
リクエスト下さった方にも、少しでも楽しんで頂ければ良いなと思います。




2005年9月9日 UP




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