あー、もう開店かぁ! 何か緊張すんなぁ。
うまくできるかな、えーっと、お客さんが来たら大きい声で挨拶して、それから……。
あ、お客さんだ! まずは挨拶だったよな。
「いらっしゃいませー!」
こんなんでいいのかな?
三蔵が何か呆れたように見てる。
……どっかおかしかったのかなあ……?
ま、いいや。えっと、次はテーブルに案内……と。
良かった、八戒がメモってくれてて。
次は水持ってくのか。3人分乗せて……っと。
で、注文も聞いてくるんだよな。
「えっと……………… 『ご注文はお決まりでしょうか』?」
うわっ、そんなにいっぺんに言われても……!
えっと、オムライスにエビピラフにミートドリアにそれから……。
……あ〜、俺も腹減ったなー。でもまだ開いたばっかだし……。
注文のヤツ出来たの? じゃあ、俺持ってく。
あそこのテーブルだったよな。
「えっと……『お待たせ致しました』」
……匂いだけで食べられないなんて、拷問だよな……。
え? 俺? うん、旅の途中なんだけど、そのお金稼がなくちゃいけなくなって……。
ううん、別に大変だなんて思ってないよ?
三蔵も八戒も、一応ついでに悟浄もいるし。毎日面白いしさ。
あ、何かお客さんがだんだん増えてきた!
女の人が多い気がするけど、何でだろ。
ん? 女の人が多いって事は……やっぱり。
悟浄が嬉しそうに女の人達をナンパしてる。
……三蔵に怒られてやんの。やーい、エロ河童。
あ! 三蔵が注文取ってる!
うわ、すっごいイヤそー。三蔵って、女の人嫌いなのかな?
俺も三蔵が女の人と話してるのとかあんまり見たくないから、その方がいいんだけどな。
そうだ、食べ終わった人達のテーブル片付けなきゃ!
けっこうあるなあ。何回も往復するの面倒だし……そうだ!
よ……っと、あとはこれを重ねて……。よし、このまま……。
……よいしょっと。何とか一回で運べたし、次は……。
あ、三蔵。……へへ、何かこういうのって楽しいよな。
そう? 俺、すごく楽しいけど。
はあ、さっきまでよりはお客さん少なくなったかな?
あ、また三蔵が注文取りに行ってるんだ。
…………ああっ!?
何だよ、あの男! 三蔵の手なんか握って!!
……許せねえっ!
「おい! 俺の三蔵から手ェ離せよ!!」
え、どうしたの、三蔵? 俺、何か変なこと言った?
……『俺の』って言ったのが……イヤだったのか……? ……ごめん……。
……え? ホント? イヤじゃないの? ……良かったぁ。
あ、まだ何かあるのかよ! このセクハラ親父!
……って、三蔵!? 銃はマズイって!
あ〜あ、やっちゃった……。
あ、お客さんが! ど、どうしよう、三蔵!
放っといたらマズイじゃんか! 皆いなくなっちゃったらどうすんだよ。
……空っぽになっちゃった……。どうしよう、俺達クビになんのかな。
折角……頑張ってたのにな……。
やっぱクビかぁ……。ごめんな、おばさん、迷惑かけちゃって……。
え、お給料くれるの? でも、俺達……。
……うん、ありがとう!
俺、お給料なんて初めてもらった……。へへ、何かくすぐったいや。
うん、そだな。
おばさん、ホントにありがとな。
迷惑かけちゃったけど、俺、この店大好きだよ!
ううん、俺達が騒ぎ起こしたのが悪いんだもん、おばさんが謝る事ないよ!
うん、それじゃ! 元気でね!
このお給料で何とかなるの、八戒?
そっか、良かったぁ。どうしようかと思ってたから。
……三蔵、大丈夫? すごく顔色悪いよ?
そう? そんならいいんだけど……。
あー、でも腹減ったぁ。帰ったら飯にしようぜ!
悟空編 END